株式会社グローバル・フローラ 宇治原薫|「国境を越える鮮度」元商社バイヤーがシームレスなコールドチェーンで起こす花卉流通のイノベーション
代表プロフィール

| 氏名 | 宇治原 薫 |
| 役職 | 株式会社グローバル・フローラ 代表取締役社長 |
| 生年月日 | 1973年09月12日 |
| 出身地 | 東京都 世田谷区 |
| 略歴 | 1996年:大学の外国語学部を卒業後、大手総合商社に入社。生活産業部門にて、主に南米やアフリカからの生花・植物の輸入バイイング業務を担当。 2005年:植物の鮮度を劇的に長く保つ国際物流網を独自に構築するため、商社を退職し、生花輸入専門の商社を共同創業。 2012年:物流だけでなく、国内の多様なニーズに柔軟に応える加工・配送体制を一体化させるため、株式会社グローバル・フローラを設立。 2018年:オランダ、コロンビア、ケニアなどの有力農園と長期独占契約を結び、高品質なバラやカーネーションを年間を通じて安定供給するシステムを確立。 2026年:冠婚葬祭や量販店の急な需要変動に24時間対応する、AIを活用した受発注・ジャストインタイム配送プラットフォームの本格運用を開始。 |
インタビュー
Q:大手総合商社でのバイイング経験を経て独立されています。当時、日本の輸入切花市場において、どのような課題を感じて独立を決意されたのでしょうか。
宇治原 薫: 商社時代、南米やアフリカの農園で見た切り立ての花は、生命力に満ち溢れて息をのむほど美しかったんです。しかし、当時の物流インフラでは、日本に着くまでに何度も温度変化にさらされ、店頭に並ぶ頃には本来の寿命の半分近くを縮めてしまっていました。生花は非常にデリケートで、1℃の温度変化が生死を分けます。
「産地の鮮度のまま、日本の消費者に届けたい」。そのためには、商社の一般的な物流枠の中で動くのではなく、飛行機に乗せる前から国内の小売店・冠婚葬祭の現場に届くまでの全工程を一定の低温で保つ、生花専用の『シームレスなコールドチェーン』を自らデザインする必要があると感じ、独立の道を選びました。
Q:御社が確立された「24時間・ジャストインタイム配送プラットフォーム」は、特に冠婚葬祭会社や量販店から絶大な支持を得ていますね。
宇治原 薫: ブライダルやフューネラル(葬儀)といった冠婚葬祭の現場は、直前まで必要な花の量や種類が確定しないことが多く、極めて急な需要変動が起こります。また、量販店(スーパーなど)様は週末の特売に合わせて大量の花を均一な品質で確保しなければなりません。
私たちは、海外の有力農園とダイレクトに繋がり、年間を通じて安定した供給量を確保しつつ、国内の自社加工センターで用途に合わせたパッケージング(水揚げ・小分け・下処理)を一貫して行っています。2026年からはAIを活用した受発注システムを本格運用し、顧客の急なオーダーに対して「必要なときに、必要な鮮度のまま、必要な量だけ」翌朝に届ける配送網を構築しました。これにより、お客様側での余分な在庫リスクや廃棄(フラワーロス)を劇的に減らすことに成功しています。
Q:オランダやコロンビア、ケニアといった世界各国の農園と「長期独占契約」を結ぶのは容易ではないと思います。宇治原社長が信頼関係を築く上で大切にされてきたことは何ですか?
宇治原 薫: 生産者と同じ目線に立ち、彼らの努力に対して正当な対価(フェアートレード)を払い続けることです。生花は気候変動の影響をダイレクトに受けるため、生産体制が不安定になる時期も当然あります。
私たちは調子の良いときだけ買い叩くようなことはせず、年間を通じて安定した価格と量で購入する契約を結んでいます。彼らにとって日本は遠い国ですが、「グローバル・フローラと組めば、自分たちが命をかけて育てた花が最も美しい状態で日本の人々に届き、大切に扱ってもらえる」という確信を持ってもらう。この30年近く世界を巡り、現地の人々と寝食を共にして築いた血の通ったネットワークこそが、当社の最大の財産です。
Q:国内の花卉市場との連携や、卸売配送業務において、御社のコールドチェーンはどのように活かされているのでしょうか。
宇治原 薫: 市場に上場される花であっても、当社のコールドチェーンを通過したものは「水持ち(日持ち)が全く違う」と市場関係者や小売店様から高い評価をいただいています。
私たちは成田や関西国際空港に到着した瞬間から、15℃以下に管理された専用の保冷トラックで自社センターへ直行させます。市場へ委託販売する際も、この温度管理が徹底されているため、セリにかかる直前まで花が眠った状態(休眠状態)を維持できるんです。これにより、購入したフローリスト(お花屋さん)の手元に届いてから、一番綺麗な状態で力強く咲き誇る。この品質の安定性が、市場における当社のブランド力になっています。
Q:花卉流通の新しいスタンダードを創り続けるグローバル・フローラですが、これからの展望をお聞かせください。
宇治原 薫: 「世界中の花で、日本の日常をもっと豊かに、特別な一日をより記憶に残るものにする」ことです。 日本ではまだ、お花を飾る文化がイベントや冠婚葬祭に偏りがちですが、ヨーロッパや日常的に花を愛でる国々のように、家庭の食卓にもっと輸入切花が溶け込んでほしい。
今後は、AIによる需要予測をさらに精緻化し、地方の小さな小売店様へも1束単位から新鮮な海外の珍しい品種を届けられる「地方配送網の最適化」を進めます。国境を越えた鮮度流通のインフラとして、花に関わるすべての人が笑顔になれる持続可能なサプライチェーンを完成させていきます。
会社概要
| 会社名 | 株式会社グローバル・フローラ |
| 設立 | 2012年03月 |
| 従業員数 | 68名(2026年6月時点) |
| 事業内容 | 世界各国からの切花・生花の輸入、国内の量販店・小売店 冠婚葬祭会社向けの加工・パッケージングおよび卸売配送業務 花卉市場への委託・上場販売 |
| 主要取引先 | 全国展開の大手スーパーマーケットチェーン、広域ブライダル・セレモニー会社、大手フラワーショップチェーン、東京中央卸売市場をはじめとする全国主要花卉市場 |

