株式会社アース・クオリア 荒木健太郎|「経験則」の地盤調査をデータサイエンスへ
代表プロフィール

| 氏名 | 荒木 健太郎 |
| 役職 | 株式会社アース・クオリア 代表取締役兼技術士 |
| 生年月日 | 1968年08月14日 |
| 出身地 | 新潟県 長岡市 |
| 略歴 | 1991年:国立大学理学部地球科学科を卒業後、総合建設コンサルタント会社に入社。地質調査部門にて全国のダムやトンネルの建設プロジェクトに従事。 2004年:国家資格「技術士(応用理学部門:地質)」を取得。多発する斜面災害の調査・対策工法設計の専門家として活動。 2008年:地盤の不可視リスクを可視化し、より安全な街づくりに貢献するため、株式会社アース・クオリアを設立。 2017年:地中レーダーとドローン測量を組み合わせた「高速3D地盤解析システム」を自社開発。 2026年:激甚化するインフラ老朽化に伴い、都市地下の空洞化リスクをAIで早期発見する「アンダーグラウンド・アイ」事業を開始。 |
インタビュー
Q:大学で地球科学を修められてから一貫して「地質・地盤」の世界を歩まれています。荒木社長をそこまで突き動かす、この仕事の魅力とは何でしょうか。
荒木 健太郎: 私は新潟県の長岡市出身なのですが、幼少期から地震や土砂崩れといった自然の威力を身近に見て育ちました。「なぜここで山が崩れるのか」「この下はどうなっているのか」という問いが原点です。
地盤調査の面白いところは、地球が何万年もかけて作った「歴史」を読み解く点にあります。泥にまみれてボーリング(穿孔)調査を行い、引き上げてきた土のサンプル(コア)を見る。それはまさに、大地からのメッセージを受け取る瞬間です。華やかな建築物と違って私たちの仕事は完成すると目に見えなくなりますが、すべての構造物の「命」を根底で支えているという誇りがあります。
Q:今回のテーマである「見えない地下の可視化」について、御社が開発した3D地盤解析システムはどのような変革をもたらしたのでしょうか。
荒木 健太郎: 従来の地盤調査は、点と点を結ぶ「線」の推測でした。特定の場所を掘って得たデータから、その間の地層を経験則で予測していたわけです。しかし、実際の地下はそんなに単純ではありません。
私たちが導入したシステムは、ドローンによる高精度な地形測量と、地中レーダーによる物理探査、そして従来のボーリングデータを掛け合わせ、地下の構造を「立体(3D)」で描き出します。これにより、地中にある想定外の巨大な岩や、昔の川の跡(旧河道)といったリスクを事前に100%近く可視化できるようになりました。設計ミスや工事の遅延を未然に防ぐ、まさに「地下のカーナビ」のような役割を果たしています。
Q:2026年からはAIを活用した「アンダーグラウンド・アイ」事業も始動しました。これはどのような課題を解決するのですか?
荒木 健太郎: 今、日本の都市部で最も深刻な問題の一つが「インフラの老朽化」です。高度経済成長期に作られた下水道管などが寿命を迎え、目に見えないところで地下の水漏れが起き、土砂が流出して「道路の陥没事故」を引き起こしています。
「アンダーグラウンド・アイ」は、道路を走る車両から得た地中レーダーの膨大なデータをAIで高速解析し、陥没の一歩手前である「空洞化」を自動で検知する技術です。手遅れになって道路が崩落する前に、ピンポイントで補修する。都市の血管である地下の健康状態を、AIの目で24時間スクリーニングするようなイメージですね。
Q:技術の自動化やデジタル化が進む一方で、荒木社長は今でも「現場主義」を大切にされているそうですね。
荒木 健太郎: デジタルは強力な武器ですが、それを正しく扱うには「現場の五感」が不可欠です。AIが弾き出したデータが、本当にその土地の性質を捉えているのか。それを最終的に判断するのは、泥の匂いを嗅ぎ、土を指で触って粘り気や水分量を確かめてきた人間の、泥臭い経験です。
特に災害復旧の現場などでは、データが揃うのを待っていられない局面もあります。大地の変化の兆候を肌で察知できる技術者を育てること。テックと職人技のハイブリッドこそが、私たちの最大の強みであり、守るべき財産だと思っています。
Q:気候変動による災害の激甚化が進む中、アース・クオリアが果たすべきこれからの役割について教えてください。
荒木 健太郎: これからの時代、地盤データは「事後調査」のためではなく、「未来の予測」のために使われなければなりません。「ここに建物を建てても大丈夫か」という守りの視点から、「この街を100年先まで維持するために、どう足元をデザインするか」という攻めの防災へシフトする必要があります。
私たちが蓄積してきた地下のビッグデータは、未来の世代が安心して暮らすための財産です。日本中、そして将来的にはアジアの災害リスクを抱える地域へ、私たちの「可視化技術」を届けていきたい。大地の声を正しく通訳し、1秒でも早く、1人でも多くの命を足元から守るインフラ企業であり続けます。
会社概要
| 会社名 | 株式会社アース・クオリア |
| 設立 | 2008年10月 |
| 従業員数 | 38名 (2026年5月時点) |
| 事業内容 | 地質・地盤調査 土質試験、自然災害(土砂災害・液状化等)のリスク評価 地下構造の3D解析 建設コンサルタント業務 |
| 主要取引先 | 国土交通省、地方自治体、大手ゼネコン、不動産デベロッパー、大手インフラ企業 |

