社長

鳳栄工業株式会社 鷲尾直紀|“止まらない工場”のつくり方

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代表プロフィール

氏名鷲尾 直紀(わしお なおき)
役職鳳栄工業株式会社 代表取締役社長
生年月日1976年8月21日
出身地静岡県沼津市
略歴1999年:精密部品メーカーに入社、切削加工の工程設計・段取り最適化を担当
2006年:鳳栄工業株式会社に生産技術として入社、設備更新と自動化ライン導入を主導
2012年:購買・品質保証を統括、サプライヤー評価基準とPPAP運用を全社展開
2019年:取締役CTO就任、EV・半導体向け新事業を立ち上げ
2023年:代表取締役社長に就任、収益構造の転換と海外協力工場の体制強化を推進

インタビュー

Q:老舗の積み重ねを、今の市場価値にどう変えていますか。

鷲尾 直紀: 「図面通り」だけじゃ勝てない時代です。うちは創業期からの加工条件データを全部デジタル化し、材質ごとの切削抵抗・工具寿命・熱変位をライブラリ化しました。結果、試作の立ち上げリードタイムを3割短縮。昔からの勘を再現可能な知見にして若手の武器にしています。明るく言えば、“職人のノウハウに取扱説明書が付いた”感じですね。

Q:EV・半導体向けへの転換で、現場は何が変わりましたか?

鷲尾 直紀: 熱影響と微細バリへの対策を徹底しました。EVの熱交換器部材は歪み管理が肝なので、プレス後にインラインで3Dスキャン、許容範囲外はその場で補正。半導体装置向けは微粒子管理を強化し、準クリーン環境の組立島を新設。検査はSPC(統計的工程管理)で傾向を早期検知します。要は「作る」と「測る」を同じテンポにしたんです。

Q:“値切らない”が方針って本当?

鷲尾 直紀: 値段だけで勝負すると全員しんどいでしょう。うちは加工難易度の見える化を先にやって、段取り短縮の共同改善で原価を落とす。その成果を長期の発注枠で還元します。海外協力工場とも図面・公差記号の解釈差を潰すために、動画付きの作業標準を共有。明るく楽しく、でも契約と品質はピシッと――が流儀です。

Q:“経験5年分を1年で”をどう実現しましたか?

鷲尾 直紀: デジタルツインの訓練機実機の昼夜ローテを組み合わせています。失敗コストの高い工程はまず仮想空間で工具摩耗や共振を体験、次に実機でタクト内での段取りを練習。評価は不良率ではなく回避行動の数で見ます。現場に笑顔が多いのは、失敗が学びにカウントされるからですね。

Q:3年後の優先テーマを教えてください。

鷲尾 直紀: 設備の予知保全×品種切替の自動化です。振動・温度・主軸負荷のデータから交換タイミングを出し、止めるなら段取り替えと重ねて止める。加えてカーボン会計をライン単位で可視化し、kWhあたりの粗利まで見ます。気持ちはいつも前向きに、でも数字はシビアに。“明るい現場で、止まらない品質”を合言葉に進めます。


会社概要

会社名鳳栄工業株式会社
設立1983年4月
従業員数312名(2025年9月時点)
事業内容精密プレス・切削・板金・表面処理・ユニット組立
EV向け熱交換器部材・バッテリーハウジング部材の製造
医療機器・産業機械向け筐体のODM
主要取引先自動車部品メーカー、半導体製造装置メーカー、医療機器メーカー、産業機械メーカー、
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