株式会社メタルリンク 荒金拓馬|「鉄は何度でも生まれ変わる」元メーカー技術者がAIとDXで挑むスクラップ業界の地殻変動
代表プロフィール

| 氏名 | 荒金 拓馬 |
| 役職 | 株式会社メタルリンク 代表取締役社長 |
| 生年月日 | 1978年04月18日 |
| 出身地 | 兵庫県 姫路市 |
| 略歴 | 2001年:大学の理工学部を卒業後、国内大手の特殊鋼メーカーにエンジニアとして入社。製鋼プロセスや金属材料の品質管理業務に従事。 2009年:父親が経営する地元の鉄スクラップ処理会社に入社。現場の解体・選別作業から、近隣工場への営業まで全般を統括。 2015年:同社の代表取締役社長に就任。検収(スクラップの格付け)作業にAI画像認識を導入するなど、業務のデジタル化を推進。 2019年:産業廃棄物のトレーサビリティを完全透明化する独自の管理システムを構築し、大手製造業からの信頼を確固たるものにする。 2026年:温室効果ガス排出量(スコープ3)の算定・削減コンサルティングに注言し、脱炭素社会に貢献する「循環型グリーンサプライチェーン」の構築を主導。 |
インタビュー
Q:大学の理工学部を卒業後、大手特殊鋼メーカーのエンジニアを経て家業に入社されています。畑違いとも言えるリサイクル業界へ戻られたきっかけは何だったのでしょうか。
荒金 拓馬: メーカー時代、私は製鋼プロセスや金属材料の品質管理に携わっていました。そこで痛感したのは、「高品質な鉄を新しく作るには、莫大なエネルギーとCO2排出が伴う」という現実です。一方で、実家のスクラップ工場に戻った際、集められた鉄くずが再び溶かされれば、新品同様の強度を持つ鉄へと100%リサイクルできるポテンシャルを目の当たりにしました。
「鉄は何度でも生まれ変わる」。この言葉は単なるスローガンではなく、物理的な事実です。メーカー側で『作る苦しみ』を知っていたからこそ、資源を循環させるリサイクル側の重要性が骨身に染みました。この泥臭くも尊い産業を、次の時代に通用する洗練されたクリーンなビジネスへ進化させたいと考え、家業を継ぐ決意をしました。
Q:社長就任後、業界に先駆けて「AI画像認識による検収(格付け)システム」などのDXを推進されました。導入にあたっての課題や効果はいかがでしたか?
荒金 拓馬: 鉄スクラップの業界において、持ち込まれた資材の品質や不純物の有無を見分ける「検収」は、長年ベテラン職人の『目利き(勘と経験)』に頼り切っていました。これは属人化のリスクが高く、持ち込み側にとっても価格設定の透明性が不透明に感じられる原因になっていたんです。
そこで職人たちの協力を得て、数万枚に及ぶスクラップの画像をAIに学習させ、格付けを自動で判定するシステムを開発しました。最初は現場から「機械に俺たちの技がわかるか」と反発もありましたが、エンジニアとしての知見を活かして対話を重ね、システムの精度を共に高めていきました。結果として、検収のスピードは3倍になり、何より「誰が見ても公平で透明な査定」が実現したことで、取引先からの信頼が飛躍的に向上しました。
Q:産業廃棄物やスクラップ業界では、透明性やコンプライアンスが強く求められる時代になっています。御社が構築した管理システムについて教えてください。
荒金 拓馬: これからの時代、不透明なルートでの資源調達や、環境負荷を無視した処理を行う企業は淘汰されます。私たちは2019年に、スクラップが「いつ、どこから回収され、どのように加工され、どの製鉄所へ納品されたか」をすべてデジタル上で追跡できる完全なトレーサビリティシステムを構築しました。
特に昨今は、大手製造業(自動車や電機メーカーなど)を中心に、自社のサプライチェーン全体における環境コンプライアンスの遵守が厳格化しています。私たちが「100%クリーンなルートで処理された再生資源です」という証明をデータで即座に提出できることは、競合他社との圧倒的な差別化、そして大手企業様が安心して当社を選んでくださる最大の理由になっています。
Q:2026年からは「循環型グリーンサプライチェーン」の構築に向け、温室効果ガス(スコープ3)の算定・削減コンサルティングにも注力されていますね。
荒金 拓馬: いまや鉄スクラップ業は、単なる「廃品回収業」ではなく、顧客の脱炭素(カーボンニュートラル)を達成するための「GX(グリーン・トランスフォーメーション)パートナー」です。天然資源である鉄鉱石から鉄を製造する場合に比べ、鉄スクラップから鉄をリサイクルすれば、CO2排出量を約4分の1にまで削減できます。
私たちは、取引先企業様が当社のリサイクルシステムを利用することで、どれだけのCO2排出量を削減できたかを具体的な数値(スコープ3の削減データ)として算定・フィードバックするサービスを本格化させました。これにより、お客様は自社の環境貢献度をステークホルダーにロジカルに証明できるようになります。スクラップを売買するだけでなく、環境価値をデータとして提供することが現代のメタルリンクの役割です。
Q:古いイメージを打破し、新しいリサイクルのカタチを体現されています。今後の展望をお聞かせください。
荒金 拓馬: リサイクル業界全体のイメージを「3K(きつい・汚い・危険)」から、「スマートで持続可能な最先端の環境インフラ産業」へと完全に塗り替えたいと考えています。
鉄をはじめとする金属資源は、限られた地球からの預かり物です。高度な選別技術とデジタル管理をさらに突き詰め、これまでは埋め立てるしかなかった微細な非鉄金属まで徹底的に回収する体制を強化します。関西圏、そして日本全体の「グリーンサプライチェーン」のハブとして、すべての廃材に誇りを持って命を吹き込み続け、未来の子どもたちに豊かな循環型社会を繋いでいきます。
会社概要
| 会社名 | 株式会社メタルリンク |
| 設立 | 1985年10月 |
| 従業員数 | 45名(2026年5月時点) |
| 事業内容 | 鉄・非鉄金属スクラップの回収・加工処理・販売 産業廃棄物収集運搬業 工場解体における総合リサイクルコンサルティング |
| 主要取引先 | 日本製鉄、神戸製鋼所、大手自動車部品メーカー、ゼネコン各社、関西圏の主要金属ディーラー |

