社長

株式会社彩匠材 真壁友海|“技術と詩心”の絵具づくり

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代表プロフィール

氏名真壁 友海(まかべ ともみ)
役職株式会社彩匠材(さいしょうざい) 代表取締役社長
生年月日1987年4月23日
出身地京都府宇治市
略歴2009年:国内画材メーカーに入社。顔料分散・樹脂バインダー配合の基礎研究を担当
2014年:欧州絵具メーカーに研究交換員として派遣。耐光性(ブルーウール法)・耐候性評価の標準化に従事
2018年:スタートアップで水性アクリルの微粒化技術を応用し、アルコールマーカー用インクとリフィル設計を主導
2021年:株式会社彩匠材を設立。描画材と基材(紙・下地)の一貫開発体制を構築し、直営ECと学校向け供給を開始

インタビュー

Q:研究と創作、どちらの重心が強いのでしょう。

真壁 友海: ラボでは数式で語り、最終判断は筆致で決めます。顔料体積濃度やレオロジーで候補を絞り、最後は3筆(面塗り・ドライブラシ・にじみ)で「音色」を聴く。数値が限界を示し、感性が到達点を教えてくれる――その間に絵具は生まれます。

Q:色の寿命、退色リスクへの取り組みを教えてください。

真壁 友海: まずブルーウール法とASTM準拠試験を二段で実施します。同時に分光反射スペクトルを保存し、メタメリズム(光源差で色がズレる現象)を監視。水彩は透明アラビアガム+微量グリセリンで澄み、アクリルはUV吸収剤の相溶を調整。さらに粒状化(グラニュレーション)系染着(ステイニング)系を明確に分け、作家が意図を再現できるライン構成にしています。

Q:紙やキャンバスの自社開発にこだわる理由は。

真壁 友海: 絵具の発色の半分は支持体が決めます。コットン紙は内部サイジング:外部サイジング=7:3に最適化し、pHを中性~弱アルカリで安定。アクリル下地はチタニウムの配合とマイクロポアで吸い込みを制御し、油彩用は油滲み防止バリアを層間に挟む。紙は光、下地はリズム――そう捉えています。

Q:環境配慮と表現の自由の両立にどう向き合っていますか。

真壁 友海: アルコールマーカーはリフィル前提設計で容器寿命を延ばし、溶媒は低臭タイプの配合比を最適化。油彩は洗浄ステーションを導入し、回収溶剤を段階濾過→再利用。パステルの粉塵は結着助剤の微改良で飛散を抑えました。ただし、表現を狭めないことが大前提。安全域を広げて表現域を狭めないのが私たちの解です。

Q:今後の注力テーマを教えてください。

真壁 友海: 作家と一緒に色を設計する「共作シリーズ」を広げます。顔料ID・粒径分布・光源別ΔEをICCプロファイルとセットで公開し、印刷やデジタルとの往復でも色が迷子にならないようにする。色は気分ですが、気分を共有するための辞書は科学で作れるはず。技術と詩心が握手する現場を、もっと増やしていきます。

会社概要

会社名株式会社彩匠材
設立2021年8月
従業員数67名(2025年9月時点)
事業内容アクリル・油彩・水彩・ガッシュ・アルコールマーカー・ソフトパステル等の企画
販売、紙・キャンバス下地の開発、顔料分散・光安定性評価の受託
アーティストコラボ製品の共同開発
主要取引先画材専門店、文具量販チェーン、アートスクール・大学美術系学部、ホビー流通企業
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