株式会社トーンラボ 篠崎紗央里|頭皮負担を最小化するpHプロファイル
代表プロフィール

| 氏名 | 篠崎 紗央里(しのざき さおり) |
| 役職 | 株式会社トーンラボ 代表取締役社長 |
| 生年月日 | 1987年11月3日 |
| 出身地 | 神奈川県横浜市 |
| 略歴 | 2010年:日系化粧品メーカーに入社。ヘアカラー用色材の処方開発と色再現評価を担当 2015年:欧州系ヘアブランド日本法人にて製品安全・薬機対応を統括、原料調達の最適化を推進 2019年:プロサロン向けブランドでグローバルPMとして低ダメージ酸性カラーラインを立ち上げ 2023年:株式会社トーンラボを設立。頭皮負担の少ないカラー技術と質感設計のスタイリング剤を展開 |
インタビュー
Q:ヘアカラー市場はトレンドが速い分、攻めの姿勢が求められます。慎重派の篠崎さんが起業に踏み切れた理由は?
篠崎 紗央里: 攻める前に守る設計が必要だと感じたからです。色の華やかさより頭皮負担と髪の再現性を先に担保したい。そこで創業時から低アルカリ/酸性カラーの処方研究を軸に据え、刺激要因の分解(アルカリ度・酸化重合・香料・界面活性剤)を一つずつ検証しました。派手さより、翌日の快適さを積み上げる方が長く支持されると考えています。
Q:低ダメージと謳っても、実感が伴わないと信頼に繋がりません。設計上の要点は?
篠崎 紗央里:pHプロファイルで塗布~放置~乳化~後処理までのpHの時間推移をコントロールし、キューティクルの開閉を最小限にします。その後、前後処理に移り、前処理で保護ポリマー&アミノ酸、後処理で酸リンスを標準化し残留アルカリを抑えます。
一番大事なのは色の設計です。酸性カラーは褪色の方向が重要なので、黄変を打ち消す補色比率をベースにレシピ化。結果、手触りとツヤを“軽さのある質感”で出せます。
Q:慎重さはプロダクトの強みですが、現場では手間が増えがちです。運用面の工夫は?
篠崎 紗央里: 手間を“ルール化とツール化”で小さくしています。サロン様には事前カウンセリング票(既往・施術履歴・ホームカラー有無)、パッチテストのリマインド、施術後のpH復帰確認をキット化。社内では原料トレーサビリティとロット別の安定性試験を徹底し、万一の際は24時間以内に原因仮説→暫定措置→情報共有までをSOPにしています。慎重さは意思決定を遅くすることではなく、“迷わない段取り”を持つことだと思っています。
Q:スタイリング剤は香りも重要です。刺激との折り合いは?
篠崎 紗央里: まず香料の総量を最小限にし、トップノートの揮発時間を短く設計します。ベースは低残香のアコードで、皮脂と混じった時の匂い変化まで評価します。テクスチャはホールド(樹脂)×ツヤ(油分)×操作性(ワックス)の三角形で設計し、水分活性を調整してべたつきの閾値を越えないように。香りは“最初に主張せず、近づいた時だけ整う”が理想です。
Q:今後2~3年の注力テーマは?
篠崎 紗央里: ホームケアとプロ施術の連携です。カラー後のpH・残留酸化物・熱ダメージを家庭でも簡易チェックできるガイド&ミニ処方を用意し、サロン施術の状態を長く保てるようにします。もう一つは色設計の共有。サロン向けにレイヤー別の補色レシピと褪色ベクトル予測をデータで提供し、トーンダウンもトーンアップも“次回来店までの計画”として提案できるようにする。慎重さは、長く付き合えるものを選ぶ力だと信じています。
会社概要
| 会社名 | 株式会社トーンラボ |
| 設立 | 2023年6月 |
| 従業員数 | 29名(2025年9月時点) |
| 事業内容 | ヘアカラー剤・ヘアスタイリング剤の企画・製造・販売 低アルカリ・酸性カラー処方の研究開発 ロン向け技術教育プログラムと販促支援 |
| 主要取引先 | 美容室チェーン、美容ディーラー、ドラッグストア、ECモール運営企業、美容専門学校 |

